般若心経 中村元先生のこと
約40年ほど前の二十歳過ぎに初めて仏教書というのを
読んだのが岩波文庫から出ている中村元先生の般若心経
の解説でした。当時は般若心経は魔法の呪文のように思
っていたのでどういう意味なのかを知りたいだけでした
が読んでも意味が分かりませんでした。
そんな頃の思い出が前に書いた記事です。
40年たった今でもそして般若心経の写経を随分しました
が、自分流の解釈はあっても本質的なところは40年前と
そう変わっていないかもしれません。
中村元先生はサンスクリット語やパーリ語などに精通さ
れた語学の天才であったそうです。
「ブッダのことば」は私の母親が亡くなった時に、1行
1行の文章をひたすら繰り返して読んでいました。
この「ブッダのことば」は今でも増刷されるロングセラ
−だそうです。
中村先生は「西洋の思想は個人主義で冷たい。東洋の
ものは暖かい」と言っておられたそうです。弟子の
前田專學先生は中村先生が「残すべきものは相手
の気持ちに寄り添おうとする慈悲で慈悲がどんな
時でも一番大切なことだ」と考えられたのだと思
うと語っておられるそうです。この「慈しみ」と
いう言葉は「愛」という言葉のそれと違ってその
言葉、音の響きも私にとっては非常に分かりやす
い気がします。
こんなエピソ−ドがあります。
中村先生が20年の歳月をかけた書物の原稿を出版社
が失くしてしまったのですが中村先生は「怒って
原稿が見付かるわけでもないでしょう」とまた8年
かけて最初から書き直したということです。
中村先生が生まれた島根県松江市には遺族の方の
寄贈の蔵書3万4千冊がある中村記念館というのが
あるそうです。
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